25 【最新データ】サ高住について改めて考える①

サ高住の増加状況 エイジングプランナーコラム

今回のテーマは、サ高住、サービス付き高齢者向け住宅について。

サ高住についての勉強会に向けて、資料作りをしているところで、改めて思うことがあったのでここでも書いてみようかと。
ちなみに勉強会も今回の新型コロナウイルスの影響で、オンラインセミナーの形になりました。
そういえばオンラインでセミナーやミーティングができるzoomの脆弱性が叫ばれていますが、どうなんでしょうかね…詳しい人教えてください。。
設定も簡単だし、複数人の参加が可能、参加者の顔が見れるのはもう当たり前なのでしょうが、画面も共有でき録画・録音もできちゃって非常に便利ですよね。

さて本題、そのサ高住について、最新のデータ等を見てみました。
ちなみに本当にココ数年、ご相談者のほうから「サ高住」という言葉が出てくることが非常に多くなりました。
新聞や雑誌、テレビなどで取り上げられることが珍しくなってきましたからね。制度が始まったときから知っている人間としては、認知度がだいぶあがってきたと感じます。

今回はまずサ高住の基礎的なお話と、ハード面に触れていきたいと思います。

サービス付き高齢者向け住宅は、登録制度となっており、国土交通省と厚生労働省が所管する高齢者住まい法の改正によって創設され、2011年10月から登録がはじまりました。
創設当初は全国で棟数が30棟、戸数も994戸だったのが、今年2020年3月の段階で7,600棟、254,747戸まで増えています。サ高住の増加状況

そもそもこのサ高住、なぜ創設されたかというと

・高齢者だけの世帯(単身・夫婦)の急増が見込まれていたこと
・要介護度が低い高齢者も特養への申込が多かったこと
(今は特養への申込は基本的には要介護3からですが、以前は要介護1から申込できました)
・諸外国に比べ日本は高齢者住宅の数が少なかったこと

こうした理由で、高齢者が安心して暮らせる住宅・サ高住が国の大号令とともに補助金もたくさんでて、建設されました。
それまでは高齢者専用賃貸住宅、いわゆる高専賃(こうせんちん)や高齢者円滑賃貸住宅・高円賃(こうえんちん)と呼ばれるものがあり、施設以外の高齢者の住まい、賃貸住宅として私たちも案内していました。
当時ようやく高専賃が少しずつ浸透してきたかな、、と思っていた矢先にこの「サービス付き高齢者向け住宅」の登場で、
「せっかく高専賃が知れ渡ってきたのに・・・」
「さーびすつきこうれいしゃむけじゅうたくって長くない!?」
とか
「向け って・・・」
などなどいろいろ思っていました。。

まぁそういうことで登場したサ高住ですが、当時2020年までに60万戸建てる!という大きな目標がありましたが、2020年3月時点では25万戸。
上の表を見てもわかるように、棟数・戸数の伸びはここ数年鈍化しているので、60万戸という数はまだまだ時間がかかりそうです。
まぁ建てれば良いというものでもないと思うので数については紹介程度にしておきます。

サ高住は登録制度、と書きましたが、サ高住の登録をするにはもちろん登録の基準があります。
それがまず建物・設備面では

①バリアフリーであること
②部屋の床面積が原則25㎡以上であること
※ただし居間、食堂、台所その他の住宅の部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合は18㎡以上
③部屋に台所、トイレ、洗面、浴室、収納を備えていること
※ただし共有部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備または浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備または浴室を備えずとも可

という基準です。
①のバリアフリーは、そうですね、もう当たり前のように使われる言葉で、今は一般のマンション等でもバリアフリーは増えていますし、段差がなく高齢者にとって優しい造りということですね。
②、③は部屋が25㎡以上でトイレはもちろん、台所も浴室等もしっかりあって賃貸住宅、「住宅」としての広さも設備も設けなさい、ということなんですが、※で書いた「ただし」以下がポイント!
要は部屋以外の共有部分に台所や浴室等があってその広さもしっかり確保していれば、部屋も25㎡なくてよくて、設備もなくても良いですよ、ということ。

それをわかった上で現在のサ高住の広さや設備をまとめた下記データを見てもらうと…サ高住室内広さと設備

まず、25㎡未満のサ高住が全体の78%を占めるという状況。
原則25㎡以上という基準がもはや意味をなしていない!?という実態がみえてきます。
部屋が狭いということは、設備も「※ただし以下」に準じた設置をしているところが多く、トイレ・洗面・収納はほぼお部屋にありますが、浴室は21%、台所は36%しか設置されていません。
18㎡でお部屋にはトイレと洗面、収納のみ、というと、そう、介護施設とほぼ同じ造りになっています。

私たちのお客様でこれまた最近よく耳にする「フレイル(虚弱)」の状態で、まだ要介護ではないが、自立でもない、というかたの相談は多くあります。特に母親や父親が遠方に住む息子さん娘さんたちからの相談です。
「最近細くなってきて、食事をちゃんと食べていないようで心配・・・」
「この前実家に帰ったらいつもきれいな家がだいぶ散らかっていて・・・」
「一度つまづいて転んでから外に出ていないよう・・・」
「チョット認知症が心配な状況に・・・」
そんな声を子世代の40代や50代のかたから多く聞きます。
世代的に仕事でネットを使うことも多くご自身でもいろいろ調べていて、その方々から出てくるのが老人ホームではなく「サ高住」っていうのはどうなんでしょう?っという言葉です。

そこで上記のような18㎡程度しかないとかお風呂やキッチンがないところが多いという実態を知っていくと
「あ~・・・・」
「難しいだろうなぁ、、本人は・・・」
となってしまいます。
もちろんそういうかたには、ある程度広いお部屋があるところを紹介しますが、希望している地域になかったり、あっても数が多くないため満室だったり・・・という状況が多くあります。

サ高住は介護施設ではない、と思っていたのに、ハード面を見ると「施設」・・・。
介護保険の使い方も住宅型有料老人ホームと同じですし、お客様としてはいったいサ高住って??とハテナが増えていきます。

運営する側からすると住宅部分での収益と、介護の部分での収益、両方でサ高住全体の収支を見ているところが多いので、介護の収益を生み出すこうした状況になっているのでしょうが、これはサ高住の運営会社がどういった系列なのか、下記表を見るとよりわかると思います。サ高住事業者の主な業種

実際は費用面で有料老人ホームには入れず、特別養護老人ホームも待機が多いため入れない介護が必要なかたの受け皿になっている側面があるのですが、上記のようなフレイルと呼ばれるくらいの方々の満足度、QOLが維持されるサ高住がもっともっと増えて欲しい、と紹介する立場からは思うのです。